住宅ローンの借入可能額を調べると「年収の7倍」という数字をよく目にします。年収600万円なら 4,200万円、800万円なら 5,600万円。でも実際の銀行審査では、年収倍率だけで判断される訳ではありません。この記事では大手銀行の実際の審査基準と、本当に見られる5つの指標を解説します。
結論:7倍はあくまで目安、実際はもっと複雑
年収7倍はメディアや不動産業者が使う簡易計算の上限値。実際の審査では以下の5つを総合判定します。
- 返済比率(月収に対する返済額の割合)
- 勤続年数
- 個人信用情報(CIC・JICC・KSC)
- 他の借入
- 年齢・完済時年齢
1. 返済比率 —— 実は最重要指標
銀行は 月収に対するローン返済額の比率 を最も重視します。
| 年収 | 返済比率 上限目安 |
|---|---|
| 〜400万円 | 30〜35% |
| 400〜600万円 | 35% |
| 600〜800万円 | 35〜40% |
| 800万円〜 | 40% |
実例:年収600万円で審査金利4%で計算
- 月収 50万円
- 返済比率 35%上限 = 月17.5万円
- 審査金利 4%(実際の適用金利が低くても審査時は 3.5〜4%で計算)
- 35年ローン → 借入可能額 約 3,960万円
実際の適用金利(変動 0.5% など)ではなく、「審査金利」 で計算されるため、試算より厳しくなります。
2. 勤続年数 —— 最低1年、理想は3年以上
| 勤続年数 | 借入難易度 |
|---|---|
| 1年未満 | 非常に厳しい・否決多い |
| 1〜3年未満 | 可能だが金利上乗せ |
| 3年以上 | 標準 |
| 5年以上 | 優遇あり |
- 個人事業主・フリーランス:3年分の確定申告書・直近2〜3年の所得平均で審査
- 転職直後:過去の同業種経験を加味する銀行もある
3. 個人信用情報 —— 過去5年が勝負
銀行はCIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター(KSC)で以下を確認:
- 延滞履歴(5年以内)
- 債務整理・自己破産(5〜10年保有)
- クレジットカード解約歴
- キャッシング残高
よくある落とし穴
- 携帯電話の分割払い延滞:多くの人が見落とす
- クレジットカードの延滞:延滞金額が少額でも記録される
- 奨学金の延滞:銀行ローン審査に影響
審査前に自分の情報開示を:CIC(1,000円)で照会可能。
4. 他の借入 —— 全部合わせて年収比
- 自動車ローン
- 教育ローン
- リボ払い残高
- クレジットカード キャッシング枠(利用なしでも「枠」がカウントされる銀行あり)
住宅ローン借入額+他の借入の 合計返済額 が返済比率の上限内に収まる必要があります。
対策
- 車のローン完済後に住宅ローン申し込む
- クレジットカード枚数を減らす(キャッシング枠ごと)
- 申込前3ヶ月はリボ払いを避ける
5. 年齢・完済時年齢 —— 80歳完済が壁
| 申込時年齢 | 最長借入期間 |
|---|---|
| 30歳 | 35年(完済65歳) |
| 40歳 | 35年(完済75歳) |
| 45歳 | 35年(完済80歳)— 限界 |
| 50歳 | 30年 |
| 55歳 | 25年 |
- 完済時 80歳 が多くの銀行の上限
- 親子リレーローン(親子2世代で返済)で期間延長可能な場合あり
銀行別の審査傾向(2026年)
大手都市銀行(三井住友・みずほ・三菱UFJ)
- 返済比率 35〜40%
- 審査金利 3.5〜4%
- 勤続年数に厳しい
地方銀行
- 地元密着で勤続年数に柔軟
- 金利は大手よりやや高め
ネット銀行(楽天・住信SBI・auじぶん)
- 金利が低い(変動 0.3% 台)
- 返済比率に厳しい(35%上限)
- 審査が機械的・定量的
フラット35(住宅金融支援機構)
- 固定金利で返済比率に厳しめ(年収400万円未満 30% / 400万円以上 35%)
- 返済負担率 重視
- 勤続年数問わず
審査に通るための5つのコツ
- 複数銀行に同時申込しない — 信用情報に記録され不利
- 申込前 3ヶ月のクレジットカード・リボ払い整理
- 勤続年数 3年以上 を目指す(転職直後は避ける)
- 頭金 10% 以上を準備 — 借入額を減らし返済比率改善
- 審査金利で自分の借入可能額を事前確認
チェリ街で自分の借入可能額を確認
チェリ街の借入可能額シミュレーターでは、実際の審査金利(4%想定)で計算します。
- 業者の営業トーク(「年収の 7倍まで OK!」)ではなく、銀行の実指標準拠
- 変動・固定・ミックスで 複数パターン試算
- 返済比率・月々返済額・金利上昇 +1% シナリオ
「借りられる額」と「借りるべき額」は違います。無理のない返済計画で、家を買った後も豊かに暮らしましょう。
更新履歴
- 2026-04-22: 出典リンク明示、編集方針リンク追加、構造化データ強化
- 2026-04-18: 初版公開